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g選

5.数秘術について



 語源の怪しい表題で恐縮だが、ゲマトリアに代表される文字のカバラ或いは数のカバラについて。
 「ゲマトリアって何ですか?」
 対面で聞かれたとすれば、おそらく筆者は、文字を数に置き換えて何やかんやするんですよ・・・ぐらいの答え方をするだろう。もっとスタイリッシュに洗練された言いようはないのか? ということで、やはり数秘術とした次第だが、これこそ、何かと好ましからぬニュアンスのつきまといがちな<魔術>の中でも殊にいかがわしい分野で。語源がどうしたなどは取るに足らない問題にしても、自ら<実践>することで効果を<体感>してみるという検証方法は、確かに通用しにくい。

 ところで、数秘術が持つロジックとは? ヘブライ語のアルファベットは、そのひとつ一つが数価を持っている。すなわち、ひとつ一つの文字、文字の連なりである単語、単語の連なりである文章は、すべて数として表現できる。そして、或る<数価>を持つ<単語>や<文章>は、同じ数価を持つ他の単語や文章と同じである。とまでは言い切れないにせよ、エイカドによれば『その振動において自然の親和性を持つ』-p95-ということになる。
 端的に言って、<ゲマトリア>をはじめあらゆる数秘術のテクニックは、この性質を応用したものである。算用数字がなかったのでアルファベットで代用せざるを得なかったという解釈も可能だが、可能なことをすべて言葉にしていたのではキリがない。また、必要以上にシニカルな態度は、得てして魔術に向かう際の障害となる。それ故ここでは、聖書の言語ということで闇雲に神聖視されがちなヘブライ語ではあるが、数秘術のテクニック自体は古代のユダヤ人たちにとってすら<伝来もの>テクニックであったらしいことを言い添えておくにとどめたい。

 差し当たって問題となるのは、おそらく大多数の日本人にとって、ヘブライ語が日常的に馴染みの薄い言語であるということだろう。タロットの鍵とヘブライ語アルファベットの照応関係を暗記しているぐらいでは、言葉として馴染んでいるとは言い難い。そこで、英語圏の魔術師たちは、ゲマトリアに際してヘブライ語をローマ字に置き換えるという方法を採った。次のように。

 アレフ/A/1
 ベース(ベト)/B,V/2
 ギメール/G,GH/3
 ダーレス/D/4
 ヘー / H / 5
 ヴァーウ / O, U , V / 6
 ザイン / Z / 7
 ヘース / Ch / 8
 テース(テト) / T / 9
 ヨッド / I, T / 10
 カフ / K, Kh / 20, 500(最終形)
 ラーメド / L / 30
 メーム / M / 40, 600(最終形)
 ヌーン(ナン) / N / 50, 700(最終形)
 サーメク / S / 60
 アイン / Aa, Ngh / 70
 ペー / P, Ph / 80, 800(最終形)
 ツァダイ / Tz / 90, 900(最終形)
 クォフ / Q / 100
 レーシュ / R / 200
 シン / S, Sh / 300
 タウ / T, Th / 400                         (17)

 さて、上の表を参考に、知っている異性の名前などをさっそくゲマトリアしてみよう。もし、○○子さんと××子さんの数価が同じになったなら、2人は『その振動において自然の親和性を持つ』と考えられる。この理屈は、異性との交友に関して進歩的な考え方を持つ(或いはだらしない)方にとって極めて好都合に思えるやも知れない。但し、実際にそんな理屈が通用するケースなどまず考えられない、という点を除けばの話である。
 ところで、今、文字の変換に際して、東洋式の姓名判断を実践する時にも似た困難に直面された方も少なくないものと思われる。該当する文字が見当たらない。どっちにすればいいのか。足し算ができない。などなど。
 エイカドは、自らのマジカルモットーをゲマトリアして見せる。

 ≪統一≫を意味するACHAD(アレフ・ヘース・ダーレス)=1+8+4=13
 ≪愛≫もしくは≪愛人≫を意味するAHBH(アレフ・ヘー・ベース・ヘー)=1+5+2+5=13
 従って『この2つの観念もしくは単語の間に密接な照応が存在することは、全く平易に理解できる』 -p95-。
 (ちなみに、ローマ字表記した≪愛≫をゲマトリアすると<11>という数価が得られる)

 さらに複雑なものとして、タウ・シン・メーム・ヨッド・シン=400+300+40+10+300=1050→各桁を足し合わせると1+0+5+0=6 →<タロー>の<第6の鍵>を参照。『このヘブライ語の<単語>は「性交」を意味する出来事と関連しているので、<タロー>がその問題に対して有益な光を投げかけていることが判る』-p97-といった例を挙げている。

 ゲマトリアに続いて、もうひとつの<カバラ的技法>として紹介されているのは、AMEDAS=Automated Meterogical Data Acquisition System式ネーミングにも似た<ノタリコン>で、略号とフルスペルを交換可能とするもの。例えば、LBRPで北に向かって振動させる<AGLA>は<Ateh Gibor Leohm Adonai>のノタリコンである。

 続いて彼は、<テムラー>の技法を紹介した後、わざわざ章を変え兄弟Pすなわち師クロウリーが書き記した<1から10までの数字の解釈法>を全文引用している。(18)
 フラター・エイカドが様々なやり方で<数字>を<計算>したことは間違いない。がしかし、それ以上の時間を<数の瞑想>に割いていたであろうことは、どうやら間違いないだろう。

 麗しき花嫁よ、家計簿を捨て瞑想に専念されるがよい。
     
 
 


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